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お知らせ

【参加レポート】マインドフルネス国際カンファレンスに出席しました

こんにちは!一般社団法人日本声ヨガ協会代表理事の八田幸子です。

先週末、テクノロジー時代のウェルビーイングを考えるマインドフルネスの国際カンファレンスに参加してきました。

イベントで1番気になっていたのは…Googleでマインドフルネス研修(SIY)を開発して世界に普及させた、チャディ・メン・タン(Chade-Meng Tan)さん!ビジネス界にマインドフルネス瞑想を浸透させた立役者です。

元々はGoogleの初期メンバーであり天才プログラマーでしたが、メンさんは元々仏教に興味があって様々なプロたちに教えを乞う中で「お皿を洗うのも、生まれたばかりの赤ちゃんを洗うのも同じ」というティクナットハン禅師のという言葉を聞いて「この人は真の伝道者だ、歩くマインドフルネスだ」と思ったそうです。Google社員に設けられている自由時間を使ってEQ向上プログラムとしてマインドフルネス研修を作り、スカウトで人事部へ異動したという異色の天才です。

1日目の終わりに写真を撮ってもらえて興奮しすぎて顔面崩壊。そして、2日目の朝には”Hi,Sachiko!”と席に来て声をかけて頂き、内面なる歓喜(JOY)がスパークしていました。IQだけでなくEQも高いなんて…天が二物を与えた人がここにいました。

今回のイベントには医師、経済学者、僧侶と様々な方がご登壇されていて参加者も様々。私自身はこれまで、瞑想アプリを企画監修ナレーションしたり、企業向けマインドフルネス研修をしてきました。そのため、次の3つの意図を持ってカンファレンスに臨みました。以下に関連して綴っていきますので、ご興味ある方はお付き合いください♪

・最前線の方の誘導瞑想を体験&吸収する
・企業のマインドフルネス導入について学ぶ
・登壇者や参加者の皆様と意見交換&繋がる

 

1.心に残った4つの誘導瞑想

どのように2日間のイベントでは各講演前にプチ瞑想タイムがありました。マインドフルネス界の神的な人たちの生で誘導瞑想を受けられる…!と、前日から興奮していました。ライブに来たオタクの気持ちです。ここでは、特に印象に残った4つをご紹介します。

Sorenさんの誘導瞑想

サンフランシスコ発の本イベント創始者であるSorenさん。
印象的だったのは「目」です。参加者全員と丁寧にアイコンタクトをされていて、TOMODACHIとして「つながる」感覚を場に醸成されていました。「過去は記憶、未来は思考に過ぎない」そんな言葉を誘導瞑想でかけていたSorenさんはイベント中、スマホをいじることなく周囲に目を配って優しい微笑みをかけていた気がします。

Mengさんによる三呼吸瞑想

三呼吸でJOYにいつでもアクセスできる方法として紹介されたのがこちら。
元々ブッダが行っていたと言われるものをシンプルにしたものだそうです。
ジェスチャーをつけて心だけでなく体感覚的にもわかりやすかったです♪

1. 呼吸に注意を「集める」Get the attention
2. 身体を「経験する」Experience the body
3. 身体を「静める」Calm the body
そして、さいごに内なる微笑み Inner smile, JOY
講演の中でMengさんは嫌な感覚に対峙できる力を高めて、他者への愛ある優しさを誰かに向けると”Inner Peace、Outer Peace”も大事にできると話していたのですが、嫌な感覚に対峙するときに恐れではなくて笑みを持って向き合うのに活用できそうなエクササイズだと思いました。

Jungeunさんによる誘導瞑想

瞑想アプリMabo創業者で韓国でのイベント開催を担当するJungeunさん。
数年前、気持ちがひどく沈んでいて都会の喧騒の中を歩いている時、ふと気づいたそうです。
「この高層ビル群は100年前はなかった。そして今から100年後、どうなっているかもわからない。」
窓の方を向いて皆で瞑想をして、目の前に止まった対象物の諸行無常性を感じるガイド、そして今ここを大切に意識を向けられるガイドでした。

Sister Chaiによる誘導瞑想


ティク・ナット・ハン師の教えと共同体の素晴らしさに感銘を受けて音楽家から尼僧に転身したシスター・チャイ。実は当日までよく存じ上げなかったのですが、本イベントで1番影響を受けたかもしれません。彼女は対談セッションの中でボディースキャンを行ってくれました。

体の各部位が自分にどんな恩恵をもたらしているか、とか、重荷を解いていくように肩の力を抜いていく…そんな思いやりある言葉を添えたガイドに癒されて、涙が一筋スーッと頬を伝いました。心を優しく包み込んでいくような言葉がけと音楽を奏でるような繊細な声の音色に、声ヨガの要素を感じてインスピレーションを受けました。声自体はとても小さく超ウィスパーで、それが耳の集中力を高めてくれた感もあります。私が誘導瞑想のナレーションするときもウィスパーなのですが、ここまでウィスパーにしたことはなかったので、今度トライしてみたいと思いました♪

 

企業とマインドフルネス


グローバルでマインドフルネスを導入しているSalesForceさんの事例を伺いました。
あくまで「興味のある方はどうぞ」というスタンスでの提供されています。(ここ大事!)

具体的な取り組みとしては、
・Trailheadという内製e-Learningに外部講師監修の講座設置
・勤怠管理アプリのチェックインアウトの際に1分の瞑想が流れる
・日本オフィスでは各階にマインドフルネスルームを構えている

シスターチャイもお招きして話して頂いているようです。彼女は企業向けに話す時に「相手のことを気にするのではなく、相手が何に貢献する人なのかを気にする」そうです。これは本質的だと思いました。目先の一人ではなく、その人が影響を与える何百何千何万の人を想うということ。


有用性を理解してもらうには?

これは1日目でも2日目でもマインドフルネス業界に携わる人にとっては大きな関心事で質問によく挙げられたことです。Mengさん曰く「マインドフルネスを伝えるために大切なことは情報を伝える相手のところに行って伝えること」だと。また「SIYのトレーニングにくる人は成功のためにくるが、トレーニングで自分とつながることを体感し、結果人生が変わっていった」と話していました。
 ちなみに、SalesForceさんの場合は全社的にマインドフルネスというのが既に共通言語になっていたこともあり、抵抗感はなく受け入れられていたそう。とはこえ、最初はピンと来なかったという方も少なくありません。30歳のときに網膜色素変性症によって視力を失ったSalesForceの佐藤さんも、そんな一人でした。

マインドフルネスにピンときた瞬間

佐藤さんは歩く瞑想に出会ったとき「あ、私これ盲導犬と歩きながらやってた!」と、マインドフルネスの体感とその効果がスッと腑に落ちた瞬間があったそうです。視力を失って「目が見えていたら私だってもっと〜できたのに…〜も楽しめたのに」と不満と不公平感を抱いていた佐藤さんは、盲導犬と共に歩くようになってから「今も幸せだなあ」と、ふと思う瞬間が増えていて、それがマインドフルネスの効果だったと後から気づいたと。

マインドフルネスというキーワードは真新しいもの未知のものに思われがちですが、ずっと昔から人間が持っている感性、認知であると思います。仏教用語ではサティ、それを表す英単語としてMindfulnessがあるだけで、特に東洋のわたしたちには馴染みのあるもの、そこにあるものだと感じました。

有用性の測り方 – 前よりも「幸せ」そうか?

シスター・チャイは企業向けにマインドフルネスに立つ時によく聞かれるそうです。
「マインドフルネスを導入しているけど、それが上手く働いているか、どうしたら分かるか」

これは私も普段、企業向けマインドフルネス講座を行っているので関心の高いトピックでした。
その価値を効果測定やアンケートなどの数値尺度で測っています。
https://note.com/voice_yoga/n/ne80196c9eeaa

涙腺崩壊

マインドフルネスの効果が得られているのか?マインドフルネスはこれで合っていて達成されているか?こんな質問をよく受けるシスター・チャイは、ティク・ナット・ハン禅師の言葉をそのままかけているそうです。「前よりも幸せそうですか(seem happier)?大事なのはそれだけです。」この一言を聞いたときに私は会場で涙腺崩壊しました。そうだ、私がこの12年間、ヨガ・マインドフルネス瞑想を伝え続けてきた理由はこれだった…。

本質的な自分の使命というか原点に立ち帰れた気がしました。「今この瞬間」目の前の参加者さんたちの様子に注意深くあること、そして回を重ねるごとに内なる笑顔や穏やかさが増えていくことが何よりだなと思います。

マインドフルネスによる経営実現

今回は録画公演でしたが経済学者の入山章栄先生の話を伺いました。「人は心がある以上、現世で目に見えるもの以外のものに頼らないと生きていけない」そこで昔から宗教に求められてきたこと、言い換えると宗教に必要なことは(1)心の救済(2)行動規範(3)コミュニティだと。神様に頼らない心の支えがコンパッションだったりマインドフルネスであり、共感することで心のつながりが持てるのだとおっしゃっていました。

 

マインドフルネスをするではなく「ある」

 今回のイベントで特に印象的だったのはPresenceです。

登壇者の皆さん、歩くマインドフルネスというか「在り方」そのものが反映されているんです。それは何よりの説得力だと思いました。


大切なのはマインドフルネスはすることではなくて、マインドフルネスで「ある」ということ。ToDo精神ではなくBeingにフォーカスして継続することが大事なんですよね。内と外をわけない、心と体をわけない、インタービーイング(Inter Being)の知恵がないと生存本能が働いてしまう。部分的にではなくホリスティック(全体性,総体的)な生き方や見方をもっと日頃から意識したいと思いました。

その意味でも、今回貴重なお話を聞けたこと以上に、登壇者の皆さん自身がマインドフルネスを「体現」されていること、その積み重ねが、佇まい(Being)や存在感(Presence)として現れていることが非常に印象的で…インスピレーションを受けました。10年前インドにヨガ留学した以来の感覚…!!

情報はアップデートされたり、時に忘れられたりします。けれど、その人の存在から受けたimpression、感情記憶と紐づいたものってずっと残っていて、自分の人生に長く影響を与えるものだと思います。今回はそんな、ノンバーバルな部分からの学びも多き週末でした。また、各国各地域から集結した個性的な参加者の皆さんとも意見交換ができてとても面白かったです。

 

さいごに…これだけのイベントを企画準備運営するのは、本当に大変だったことと思います。初参加で当日まで未知数だったのですが…控えめに言って最高でした!このような素晴らしい場を作り上げてくださった荻野さん、木蔵さん、登壇者そしてスタッフの皆さんに心より感謝も申し上げます。素晴らしい時間と機会をどうもありがとうございました!

常時JOYに溢れてました!そして、きっとこれからも。

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